溶連菌による咽頭炎、扁桃炎は、3歳以上の幼児・学童に多く、冬に流行しやすい病気です。(※出典元1)しかし、大人にも感染します。
典型的な症状は、発熱、のどの痛み(咽頭痛)、つばを飲み込む時の痛み(嚥下時痛)などです。
ただし、小さな子どもの場合は、のどの痛みなどの症状をうまく伝えることができません。不機嫌、食欲不振といった症状にも気をつけてあげましょう。特に、小児の場合には、イチゴ舌(舌に赤いボツボツができる)や全身の発疹(「猩紅熱」といいます)の症状が出ることがあります。
また、適切な治療により、重大な合併症をなるべく抑えることが出来ますので、熱やのどの痛みが強いなどのつらい症状がある場合には早めに受診しましょう。
■溶連菌感染症の治療方法
どの科に受診すればよいか?溶連菌による咽頭炎、扁桃炎の代表的な症状は、のどの痛みや発熱です。多くの場合、内科や小児科で対応可能です。
ただし、のどの痛みが激しい場合やつばが飲み込みづらいなどの強い症状がある場合は、耳鼻科での対応が必要になることがあります。迷う場合は、かかりつけや受診前に近隣の医療機関に相談しましょう。
治療の概要診察の結果、溶連菌に感染している可能性が高いと判断された場合、抗生物質による治療が行われます。抗生物質が効果的に作用すれば、2日後までには、熱やのどの痛みなどの症状が、徐々に改善しはじめます。
しっかり治療するには溶連菌をしっかり治療するには、処方された抗生物質をすべて飲みきる必要があります。なぜなら、抗生物質で治療する目的には、次のような理由があるからです。
合併症の予防(扁桃周囲膿瘍、咽頭後膿瘍、中耳炎・副鼻腔炎など)リウマチ熱の予防など。
特に、リウマチ熱の予防には、抗生物質を飲み続ける期間を十分に設けることが効果的とされています。(※出典元2)ですので、熱や喉の痛みなどの症状がなくなっても、油断せず、指示されたとおりに服用してください。
ただし、抗生物質を飲んで3日間経過しても、症状が改善しない場合は、合併症が起きていないかなどを判断するために再評価が必要ですので、同じ医療機関に相談しましょう。
そして、症状が改善してから2〜3週間後に尿検査で、尿に血液が混じっていないかを確かめる場合があります。これは、主に腎炎の合併症が起きていないかを診るためです。
■大人にも感染する溶連菌
溶連菌による咽頭炎、扁桃炎は、3歳以上の幼児・学童に多い病気です。しかし、小児特有の病気というわけではありません。抵抗力の弱い妊婦を含め、大人も感染しますので、家族内で発症した場合は、下記のような手段で、感染拡大の予防につとめましょう。
感染拡大を防ぐ方法とくに、感染の拡大が起きやすい環境は、接触の機会が多くなる家庭内と学校です。子どもや妊婦になるべく感染させないように配慮するには、マスク、手洗いが効果的です。
また、食事の際、取り分ける前の食事に箸をつけたり、コップの回し飲みなども避けましょう。なぜなら、溶連菌は、患者さんのつば(唾液)にも含まれているからです。
なお、ペニシリン(抗生物質)による治療を行った24時間後に細菌がどのくらい減っているかを調査した研究があります。(※出典元3)その研究では、約80%の患者さんで、唾液の中に含まれる溶連菌がいなくなったという報告があります。そのため、抗生物質の治療を受けた後、少なくとも1〜2日間は、感染拡大の予防のために、わずらわしくても積極的にマスクの着用を行いましょう。
溶連菌による咽頭炎、扁桃炎は、適切な治療で、患者さん本人のつらい症状を治すことができます。また、周囲に感染を広めないためにも、早めに受診しましょう。
出典※補足説明:ペニシリンによる治療後24時間後、約80%の症例で培養の陰性化を確認。ただし、ペニシリンでのデータであり、他の抗生物質での検証はされていない。)
ヘルスケア大学