間違われやすい病気


「診断」

熱がでてのどが痛いと、すべてが溶達菌症かというとそうではありません。ほとんどはウイルス性です。確定診断のためにのどから菌をぬぐいとって、すぐにわかるテストか、またあるいは培養検査を行います。

のどが大変痛い場合は、溶連菌でない場合、細菌性のことが多いと思われます。

抗生剤を内服している場合には検査をしても陰性になります。

発疹が全体にでている場合は猩紅熱といわれています。これは溶連菌の出す毒素で全身が真っ赤になったり、小さい発疹が首や股、手関節などに密集して出るものです。かゆみを伴います。のどに所見がなく、発疹だけのものもあります。この場合は咽頭培養やキットの検査では出てこないことがあります。


出典: 妹尾小児科




「大人の溶連菌感染症の間違えやすい症状」

・子供だと発疹ができたり、いちご舌になったりすることも多いですが、大人では症状が軽く風邪と間違われやすいみたいです。

発熱・咽頭痛で発症し、初期には普通の風邪と区別がつきません。


・年長児や大人では、咽頭炎・扁桃炎のみのことが多く、全身症状を示すことは少なくなります。


出典: 溶連菌感染症




「溶連菌はなぜ、こわいのですか?」

この病気は風邪と間違われて治療されることが多く、薬を飲むと数日で発熱などの症状が消えてしまいます。しかし、溶連菌は、死滅しないで体の中に残っています。このような状態にいると1ヶ月以内に急性腎炎やリュウマチ熱というような合併症を引き起こす危険性があります。また、この細菌は飛沫感染といって、空気を伝わって人から人へと感染します。


リュウマチ熱…老人に見られる「リュウマチ」とは全く別の病気です。高い熱が幾日も続き、関節の痛みや発疹が出てきます。心臓に障害を起こし、心臓弁膜症になってしまうことがあり、怖い病気です。


出典: 寺尾子どもクリニック




鼻水、のどの痛み、咳、などのいわゆる「かぜ」症状や発熱が見られたときに、かぜ以外の病気の可能性も考えられます。「かぜをひいたな」と思った時に最も大切なのは、これら「かぜ以外の病気」と「かぜ」を間違わないことです。通常、かぜならば自然に治りますが、かぜ以外の病気では治療の遅れが重大な結果をもたらすことがあるからです。以下にかぜ症候群と区別しなければならない代表的な疾患を上げてみます(順不同)。


■溶連菌感染症:A群β溶血性連鎖球菌という細菌の感染により引き起こされる疾患です。咽頭痛が強く、のどが赤く腫れます。抗生物質が著効しますが、治療が不十分だと急性腎炎やリウマチ熱の危険がありますので、きちんと治療することが大切です。


出典: 風邪とよく似た病気




A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌)


 幼児、学童(特に5-15 歳)に好発しますが成人も発症することもある冬から春にかけて多くみられる感染症です。一般的に「かぜ」と言われている病気の一つです。「かぜ」と言っているものには、この溶連菌感染症以外に、ウイルス感染や細菌感染による扁桃炎、咽頭炎、喉頭炎(咽喉頭炎)、鼻炎、副鼻腔炎などが含まれ、また症状からは「かぜ」と言われていても実際は気管支炎やマイコプラズマ肺炎である場合があり、下痢や嘔吐、腹痛をきたしてくる感染症(ロタウイルス感染症や小型球形ウイルス感染症、アデノウイルス感染症等)も「かぜ」と総称されることがあります。


 鼻汁・唾液中の溶連菌の飛散によって鼻・咽腔を通して人から人に感染しますが、食品や飲料水による経口感染や皮膚の創傷部位からの感染もあります。1-4日の潜伏期間を経て突然の発熱(38度以上)、咽頭痛・嚥下痛、全身倦怠、扁桃の発赤腫脹、頸部リンパ腺腫脹、時に皮疹が出現します。また、小児の場合は嘔吐・腹痛などを併発することがあり、特徴的な莓舌や皮疹がみられることもあります。菌が産生する発赤毒素に対して免疫をもたない場合は猩紅熱となるので注意が必要です。

   浮腫・発赤をきたした咽頭と腫大した扁桃 (日本医師会雑誌臨時増刊号 感染症の現状と対策より)

 診断は血液検査(白血球数、ASO値等)や咽頭の溶連菌培養で行いますが外来で迅速診断キット(凝集反応)を用いて15分以内の診断が可能です(当クリニックでも実施可)。迅速診断は溶連菌感染の存在について診断できる優れた検査法ですが溶連菌群の型の判定はできず、このためには時間はかかりますが咽頭培養を行う必要があります。


よく似た症状を示す疾患には、ウイルス性咽頭炎(インフルエンザ、エコー、コクサッキー、アデノ、単純ヘルペスなど)と他の細菌性咽頭炎(臨床的意義は少ないのですがインフルエンザ菌など)があります。

治療薬としてはペニシリン系薬剤が有効ですが、セフェム系薬剤またはマクロライド系薬剤でも効果はありますし(ただ、マクロライド系は耐性ができてきているのでその選択には注意が必要です)、特にペニシリンアレルギーのある場合は投与されます。合併症予防のために7-10 日間の投与が必要で、重症例では抗生剤の点滴静注を行ったり脱水症状がみられる場合は補液が必要となります(特に小児)。

発熱は通常3-5 日以内に下がり、主な症状は通常1 週間以内に消失します。ただ、扁桃や頸部リンパ節がもとの大きさに戻るのには数週間かかることもあります。

合併症として、化膿性合併症(扁桃周囲膿瘍、急性中耳炎、急性副鼻腔炎など)や非化膿性合併症(リウマチ熱、急性糸球体腎炎など)がありますので油断はできません。

学校,家庭などの集団での発生が多いので集団内での保菌者の治療や予防が大切です。

伝染性紅斑(りんご病)、手足口病、帯状疱疹に加えて溶連菌感染症は学校伝染病第3種のその他の伝染病とされており出席停止期間の基準(必要がある場合のみ)が決められていますので登校・登園の可否についてはかかりつけ医に相談するようにして下さい。


出典: 気になる病気の話




溶連菌とは、正式には溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌で、溶連菌感染症の90%以上がA群によるものです。

なので、一般にはA群溶血性連鎖球菌(A群β溶血性連鎖球菌)によるものです。

主に“のど”に感染して、扁桃炎や咽頭炎、それに小さく紅い発疹が伴う猩紅熱(しょうこうねつ。小児に多い発疹性伝染病)といった病気を引き起こします。


2~3才から小学校低学年くらいがかかりやすいようです。


主な症状は、発熱(38〜39℃)と喉の痛みです。


しかし、3歳未満の場合ではあまり熱はあがらないと言われています。



そして、体や手足に小さくて赤い発疹が出たり、舌にイチゴのようなツブツブができたりするイチゴ舌とよばれるものがあります。


その他には腹痛、頭痛、首すじのリンパ節の腫れなどもみられます。


急性期を過ぎると、発疹のあとには皮むけ(落屑)が認められるようになります。

風邪と違い、鼻水や咳はほとんどないという点もこの病気の特徴です。


また、中耳炎、副鼻腔炎、伝染性膿痂疹、蜂窩織炎、丹毒、肺炎、菌血症、トキシックショック症候群などになることもあります。


溶連菌の潜伏期間。潜伏期間中も感染する?

実際に感染してからだいたい1から7日で症状がでます。


溶連菌はくしゃみや咳などで近くの人に飛沫感染しますが、溶連菌に汚染された食品などが原因のこともあります。


家族がかかったら大人も含めて検査しておくと良いです。

薬を飲み始めて24時間以上過ぎれば感染リスクは抑えられます。

潜伏期間中は感染するかどうかについて調べましてみましたが、はっきりした情報は載っていませんでした。


それに付随した情報だけになりますが、もし潜伏期間中の小さいお子さんと、飲み物などを飲み回した場合は、一回口に入ったものがコップに逆流していることも多いですし、溶連菌以外でも、経口感染する病気なら、うつる可能性は高いようです。


そういった場合は、大事をとって検査に行くのもよいかと思いますが、潜伏期間中の検査については、溶連菌かどうか判断するのが難しいこともあります。

発症してからでも反応が弱くて風邪と間違われることもあるとのこと。


ただ症状が出てない子でも、兄弟間での溶連菌や、経口感染する風邪の場合は、医師が確実にうつってるだろうと判断して、薬が出ることはよくあるそうです。


出典: Information Room 『to』




「猩紅熱(しょうこうねつ)と溶連菌感染症は違うもの?」


猩紅熱(しょうこうねつ)は、かつては隔離入院の必要があった病気ですが、現在では一般の感染症として扱われています。その理由と、溶連菌感染症との関係について、ドクター監修の記事にて解説します。


猩紅熱(しょうこうねつ)と言うと、死亡率の高い病気というイメージがある方もいるでしょう。しかし、最近はそれほど恐ろしい病気として知られていません。その理由と、溶連菌との関係について詳しく解説します。


★猩紅熱(しょうこうねつ)とは?

猩紅熱(しょうこうねつ)は溶連菌感染症の一種で、皮膚を赤くする毒素に免疫がない場合に生じます。そのため、一般的な溶連菌感染症の症状とともに、小さな赤い発疹も現れます。この発疹は、わきの下や太ももといった目立たない部位から体中に広がっていくのが特徴です。ただし、口のまわりだけにはできません。口囲蒼白(こういそうはく)といって、口のまわりは青白く見えます。


ほかに、舌に赤いブツブツができるイチゴ舌や、回復期に皮膚がむける膜様落屑(まくようらくせつ)も見られます。


溶連菌感染症には、猩紅熱以外にもいくつかのタイプがあります。それは、溶連菌にはさまざまな種類があるためです。A群~H群、K群~W群の21群があり、人間に感染するのはA群が9割以上を占めます。A群溶連菌の感染により起こる症状(合併症も含む)には、猩紅熱のほか、急性咽頭炎、丹毒(たんどく:真皮の化膿性炎症)、伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん=とびひ)、中耳炎などがあります。


C群やG群は上気道炎を引き起こし、B群は新生児期の敗血症※1や髄膜炎※2の原因であることがわかっています。


※1(敗血症)~肺炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)など、感染症を起こしている部位から血液中に病原菌が入り込み、重篤な全身症状が引き起こされる病気。


※2(髄膜炎)~持続する頭痛とともに、発熱、うなじの硬直、髄液細胞の増加などが現れる病気。


★猩紅熱の歴史

以前は、猩紅熱にかかると伝染病棟に隔離されて入院しなければなりませんでした。つまり、法定伝染病※3に指定されていたのです。


※3(法定伝染病)~旧伝染病予防法により指定された、11種類の感染症。コレラ、赤痢、腸チフス、パラチフス、発疹チフス、痘瘡、ジフテリア、ペスト、日本脳炎、流行性脳脊髄膜炎、猩紅熱がこれにあたる。


しかし、1999年に施行された感染症新法により、猩紅熱は隔離の必要のない一般の感染症となりました。それは、この症状による死亡者が減ったことによります。


A群溶連菌の感染によって猩紅熱が発症し、たくさんの死亡者が出ていたのは1950年頃までです。アメリカでは、1943年から1945年に年間7万人ほどの猩紅熱患者が出ています。しかし、どのような理由によるのかははっきりしておりませんが、1950年~1980年にかけて、A群溶連菌による死亡者は減少していきました。


さらに、現在においては溶連菌に有効な抗生物質が開発され、治療に活かされています。かつては法定伝染病に指定されるほど死亡率の高い病気でしたが、抗生物質を服用することで、2~3日ほどで症状が改善されるようになったのです。


このような理由から、猩紅熱は、今では死に至る恐れのある病気とは考えられていません。


出典: ヘルスヘア大学